いもり空間

2009年6月1日、ジャングル状態だった谷戸の
開墾が始まりました。
今年の6月1日で丸五年経つわけです。
刈払い機(草を刈る機械)の使い方もわからず、
チェーンソーなど、当然初めて手にするような
ど素人が草木を伐採することから、SYOKU-YABO農園は
始まりました。

開墾初日、二人の男が駆けつけてくれました。
二人とも仲間であり、造園業に就いているプロ中のプロ。
刈払い機の使い方をレクチャーしてもらいつつ、
伐採の手ほどきをしてくれたのです。

その仲間の一人、藤本さん。
昨年、病気のため何度かの入退院を繰り返した後、
他界しました。
仮退院している際は必ず農園に遊びに来て、
「リハビリも兼ねて農園の手伝いをするよ」
と痩せこけた身体で、畑の除草や間引き作業など
を手伝ってくれました。
庭をデザインするのが大好きな男だったので、
僕はビニールハウスの裏の鬱蒼とした空間を、
居心地の良い、素敵な雰囲気にして欲しいと頼みました。

「斜面にいらない木が多すぎる」

丸1日かけて雑木を伐採。すっきりとした空間造りが
始まりました。

その後、仮退院が出来ないほど具合が悪くなり、
農園には全くこれない状態となったとき、
僕は『SYOKU-YABO農園通信』と題したメールを送り、
写真にて、引き継いで作業を行った
ビニールハウス裏の様子を知らせ、指示を仰いでいました。
お見舞いに行くと、最後の最後までその空間を自ら造れなかった
を悔やんでいました。

藤本さんは造園だけでなく、自らが伐採した木を削り、磨いて
ペーパーナイフなどを造るアーティストでもありました。
“いもりや”
という屋号でデザインフェスタに出展するなど、精力的に
活動をしていました。
IMG_2610

プレオープン前日の今日、
藤本さんの納骨式があります。

藤本さんが手がけたビニールハウス裏は、多くの机や椅子が並び、
どこでもドアギャラリーができ、小さなステージも出来ました。
藤本さんが描いていた形ではないかもしれないけど、
素敵な空間になりました。
僕はこの場所を、
“いもり空間”
と名づけることにしました。

お墓に入る前に、最後のSYOKU-YABO農園通信として、
いもり空間の写真をみせに行こうと思います。
気に入ってくれると思うんだけどな。

藤本さん2